2008.8.13 In Sotres


--Fingazzのオリジナルアルバム第2弾特別インタビュー


□Fingazz
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THE LATE NIGHT HYPE vol. 2


Release Date: 2008.8.13
Cat.#: SLMJ-1004

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-Telephone Interview Session with Fingazz
Date: Friday, June 13rd , 2008
Conducted by: Yumi “Dzmama” Parks
Yumi (以下Y): 日本では『The Late Night Hype』のリリースでさらにファンが増えたと思うのですが、昨年の来日公演は如何でしたか?

Fingazz (以下 F): (日本での)ショーは最高だったよ。日本でのライヴはいつもすごくいい感じなんだ。丁度自分のアルバムがリリースされた後だったから、オーディエンスのリスポンスも良かったし、彼らからのラヴを感じ取れたよ。

Y: 日本とアメリカではファンの反応とかは違ったりするんですか?

F: アメリカでも場所(州)によって反応は違うからね、カリフォルニアの場合は誰もがみんな自分のことをスターだと思ってたりするから逆に良い反応を得るのが難しかったりするんだけど(笑)、テキサスやアリゾナ、ニューメキシコなんか、そういう場所にこそホンモノのファンがいてくれたりするんだ。日本は間違いなくライブをやるのにオレが最も気に入ってる場所だよ。

Y: 何故?

F: (ファンからの)情熱が伝わるし、オレのトークボックスをすごく気に入ってくれてるのも分るし、そういう彼らの前でパフォームするのはとにかく楽しいんだ。それに日本ではウエストコースト・ミュージックを支持してくれてるファンが沢山いるしね。

Y: その通りですよね。日本ではウエストコースト、それからローライダー・カルチャーの熱狂的ファンが沢山いますからね。 既に何度も来日されてるから今となってはそうでもないかと思いますが、そういった日本の状況に驚かれたりしましたか?

F: ローライディング関連の熱狂的ファンがあんなにいるなんて知らなかったからね、最初は驚いたよ。日本にはローライダーが楽しめるような環境(註:道路の狭さ等)がないと思ってたから、初来日の際に空港で確か71年型のDevilleだったと思うけど、長いキャデラックでピックアップしてくれた時にめちゃくちゃ驚いたのを覚えてるよ。とにかく日本ではそんなに大きなクルマ運転してる人いないからね、目立ちまくってたよ。(笑)それだけじゃなくて、ファンのみんなの格好とかも、まるでカリフォルニアにまだ居るんじゃないかって錯覚に陥ったよ。みんな(ウエストコーストの)カルチャーそのまま着てるって感じでクールだったよ。

Y: 特に何か印象に残っている出来事などはありましたか?

F: そうだな・・・どの旅でそんな経験したっけ、、、

Y: 日本中色々なところを訪れてますよね?

F: 色々行ってるけど、まだ大阪には行った事ないんだ。間違いなく大阪には行ってみたいと思ってる。今までに名古屋、静岡とか、横浜には何度も行ってるし大好きな街だよ。そうだな・・・印象に残ってる出来事ってなると・・・そうそう、この話は結構クレイジーなんだけど、初めて自分のワイフを日本に連れて行ったときに、横浜のNation Wide(ネイションワイド)っていうストアに立ち寄ったんだけど、そこではウエストコースト系の服とか売ってて、ストアの中に入っていったらマネキンの顔に厚紙で作られた手製のオレの顔写真がついていて、それっぽい服が着せられてたんだ。(笑)まさかオレの写真がこんなとこにあるなんて思ってなかったからオレたちみんなめちゃくちゃ驚いたのを覚えてる、ショッキングだったんだ。

Y: DJ PMXたちとレコーディングもしたそうですが、如何でしたか?

F: すごくいい感じで出来たよ。実は初めて来日した際にDJ PMXとレコーディングしたんだけど、で今年もまた彼と仕事をしたんだ。最高だったよ。彼のビートも大好きだし、彼のミュージックも最高だからね。前回来日した際にはBig Ronとも一緒に彼のレコード用に仕事できたし、彼らとの仕事は楽しいよ。彼らの作る音楽も好きだし、チャンスがあれば一緒に仕事するようにしてるんだ。

Y: お互いにいいヴァイヴを感じてるみたいですよね。

F: そうなんだ。オレたちはみんなサマータイムっぽい、ウエストコーストって感じの同じタイプの音楽をやってるからね、彼らの音楽にオレのトークボックスを被せるといい感じに仕上がるんだ。

Y: どんな経緯で一緒に仕事をするようになったんですか?

F: 初めて日本に行った時にSlow Painと一緒に行ったんだけど、その時にオレたちを呼んでくれたのはBallers Nation、Nation Wide Clothingだったんだ。

Y: 確か2004年でしたよね、、、

F: そう確か2004年だったと思う。で、彼らのアイディアでSlow Painのラップを(DS)455のアルバムにフィーチャーすることになって、で、その時にオレも一緒にいることに気づいた彼らが、フックのパートをオレにトークボックスでやってくれないかって持ちかけてきて、それが彼らとの最初の出会い。で、同じレコーディングセッションで、オレはBig Ronとも一緒に“Ghetto Love”っていうシングルをやったんだ。それが彼らと初めて出会ったときの話。

Y: で、それ以来互いにコラボをしあってるって感じなんですね・・・

F: そう。日本に行くといつも彼らが何やってるか探りに会いにいって、一緒にハングアウトして、前回の来日の際には彼らのレーベルとミーティングして、レコード何枚か一緒にやったんだ。

Y: 今回の『The Late Night Hype 2』の最終的な収録曲はもう決まったんですか?

F: Streetlightのみんなでチェックして、最終的なリストを決定しようとしてるところなんだ。殆ど固まってると思うけど、インタールードやイントロとかにオレのシグネチャーとしてトークボックスを追加したりする作業が残ってるんだ。

Y: 選曲はどのような感じになりそうですか?

F: グレートだよ。数曲まだ悩んでるレコードもあるんだけど、だからまだアルバム収録曲全部は確定してないんだけど、現段階でリストされてる部分はすごく気に入ってるよ。自分のレコードはどれも好きだからね。自惚れてるって思わないで欲しいんだけど(笑)、でも自分が手がけてきた作品は全部ホントに気に入ってるんだ。みんなが最初のアルバム(『The Late Night Hype Vol. 1』)を気に入ってくれたことを嬉しく思ってるし、パート2は最初のアルバムよりも更にいい出来に仕上がると思うよ。

Y: この中で、特に思い出深いレコーディングがあったら教えて下さい。あなたの場合 既にもう千曲以上のレコーディングをしてるので全て覚えてらっしゃるかわかりませんが・・・

F: そうなんだよね。今も毎日レコーディングセッションやってるからね。 そうだな・・・ちょっと待ってトラックリストを持ってくるから、その方がキミの質問に的確に答えられると思うし。ちょっと待ってね、すぐ戻ってくるから・・・ ((一時インタビュー中断))
((電話にFingazzが戻ってきて))ハロー、待たせちゃってごめんね。

Y: 全然OKです。

F: トラックリストを探すのに時間かかっちゃったぜ。

Y: わざわざ探していただき、ホントに感謝してます!!

F: っていうのも、オレのビジネスパートナーのFlossyが書類関係はハンドルしてるから、彼の方がその辺のことはきちんと把握できてるからね。オレはただ黙って音楽を作ってればいいって感じなんだ。(笑) このトラックリストはホントにいい選曲になってるよ。最高のアルバムになると思う。特に気に入ってるレコーディングセッションはね・・・そうだな・・・

Y: すみません、難しい質問しちゃいましたね・・・(笑)

F: そう 難しい質問してきたよね・・・(笑) そうそう、このリストに“Spot Light”っていうレコードが入ってるんだけど、Relっていう名前のアーティストの曲で、Ray Jもフィーチャーしてるんだ。これは最高のレコードで、すごく才能のあるRay Jと一緒に仕事できたことも嬉しかったしね。彼はスタジオにやって来てすぐ歌い始めてくれたんだ。

Y: 後で質問しようと思ってたんですが、Ray Jとは“Spot Light”の他にもLunchの“Get’em Girl”のリミックスを一緒にやってますよね。Ray Jとはどんな風にフックアップしたんですか?

F: オレのアーティストのLunchがLAの何かのイヴェントでRay Jと知り合って、色々話をしてたら気があったみたいで、携帯番号とかを交換してって感じで・・・Ray Jは本当に地に足のついたアーティストなんだ。彼はBrandyの弟で、今色々盛り上がってるし、シングルがナンバーワンになったしね、メジャーなアーティストなんだけど、すごく腰が低いし、地に足がついた人間。彼がわざわざオレたちのスタジオに来てLunchと一緒に仕事してくれるなんて、それだけでもすごいことだけど、Nate Doggとか誰でもそうだけど通常アーティストたちはスタジオに来て自分のフィーチャーされる部分をレコーディングしたらすぐスタジオを去るって感じだから、Ray Jもきっとそうするだろうと予想してたんだけど、彼はゆっくり時間かけて仕事してくれたし、スタジオでオレたちと一緒にハングアウトして楽しい時間を過ごしていったんだ。彼が音楽を作ることが本当に好きなんだってよく分ったよ。彼は単なるハリウッドのスーパースターって感じじゃないこともね。

Y: では通常ありがちなmp3の交換みたいな感じじゃなくて、実際にスタジオに入って一緒にレコーディングセッションをしたんですね・・・それはクールですね!

F: そうなんだ。彼は実際にスタジオに来てくれて一緒に仕事してくれたんだ。で、彼がここに来た時に、他のアーティストたちも自分たちのレコードに彼をフィーチャーしたいって話もあるからって感じで色々他のビジネスに関する話もしたしね。彼も他にも色々またやりたいって話してたよ。で、RelもRay Jと一緒にやりたいって話をしてたんで、そこから(あの曲でのコラボの話が)始まったんだ。Ray JとLunchのコラボがキッカケになったんだ。で、Ray Jは本当にこのRelのレコードで最高の仕事をしてくれたんだよ。

Y: Relは、Rel Princetonのことですよね?

F: そうRel Princeton。

Y: フィリピーノのラッパーの・・・

F: フィリピーノ・ラッパーのRelだよ。キミは色々良く知ってるんだね!(笑)

Y: ちょこっとホームワークしときましたから!(笑)

F: Yeah!

Y: 彼はまだ日本のファンにはよく知られてない、恐らくそんなに時間を経てずに有名になると思いますが、彼について教えていただけますか?

F: 彼はオレがよく仕事をするような良い意味で典型的なアーティストなんだ。オレは沢山のカリフォルニア出身のアーティストたちと仕事をしてるけど、彼らはまだメジャーとの契約をしてなくて、独自でグラインドして、必死にいつか陽の目を浴びようと努力してる連中なんだけど、彼はオレたちのところに来たインディペンデントなアーティストたちの中でもベストと言っても過言ではないラッパーだと思う。彼はすごくハングリーだし、必死にグラインドしてて、自分の音楽を作ることには本当に真剣なんだ。オレたちはいつもそういうアーティストをアナザーレヴェルにもっていってあげるようとしてるんだ。

Y: 彼とはどんな風に知り合ったんですか?

F: Qっていう名前の長年の知り合いを通じてRelとは知り合ったんだ。彼はRelのマネージャーでありプロデューサーでもあるんだけど、オレの昔からの知り合いで、彼らが設立したレーベルBuilding Block Entertainmentで、Relっていうラッパーのレコードを作るって話を電話で聞いたから、彼(Rel)がどんなアーティストなのかチェックアウトさせてくれって言って・・・そんな風に友達同士の間で話が進んでいったんだ。彼はドープ(なMC)だと思ったからね、一緒にレコード作りたいって思ったんだ。

Y: ちょっと話が色々それたんですが、“Spot Light”以外に印象に残るセッションとかはありますか?

F: “Spot Light”は間違いなく思い出に残るセッションだったよね、さっきも言ったけどRay Jの物凄い才能をみせてもらったからね、彼が実際にアドリブしたり、歌ったりする様子は素晴しかったよ。他にはどの曲になるかな・・・全部好きだからね。どの曲のセッションもすごくいい思い出があるから。多分Roscoeとのセッションかな。Roscoeとの仕事はいつも楽しいんだ。まるでオレの弟みたいでね。このアルバムには“On My Mind”っていうトラックが収録されてるんだけど、クールでレイドバックな曲だよ。

Y: 今年中に彼の新譜がドロップされる予定ですよね?

F: そうだったと思うよ。彼はいつもレコーディングしてるからね。リリース日は知らないけど、いつも彼は音楽の作ってるから。

Y: 彼と彼のお兄さんもですよね?(笑)

F: そう、四六時中ね!(笑) 

Y: 彼のお兄さんも今年は物凄い枚数のレコードをドロップする予定みたいですよね?

F: そうなんだ。二人ともとにかく忙しく音楽作ってるよ。

Y: Roscoeとは最近フックアップしたりしてるんですか?

F: 最近はやってないね。最後に一緒にやった曲は何だったっけかな・・・あ、違う違う。ウソついちゃったよ。一緒に仕事はしてないけど、Ray Jが最初に(スタジオに)来た時にオレたちはRoscoeを呼んだんだ。Ray JとRoscoeは友達だし、Roscoeはオレのスタジオの近くに住んでるから、電話して「今ここにRay (J)が来てるから、遊びに来いよ」って言って、みんなでハングアウトしたんだ。数ヶ月前の話だよ。Roscoeとはまた近々フックアップすると思う。いつもオレたちは1年位会わない期間があって、その後にまた一緒にホットなのを作っちゃうんだ。

Y: みんな楽しみにしてますよ!

Y: リード曲の“Wassup Wit It”でコラボしているThe Majorsはどのようなグループなのでしょうか?

F: 彼らは本当に才能あるんだ。

Y: どんなアーティストなのか教えていただけますか?まだ日本には馴染みがないリスナーもいるかもしれませんので。

F: 2人のチカーノラッパーのグループで、カリフォルニア州オクスナード市の出身。これが初めて彼らと一緒にやったレコードだったから、エキサイティングだった。大抵どのアーティストでも初めて仕事するレコードはそのレコーディングに関してワクワクするし、とにかく最高のワークを捧げたいって思うから。彼らの期待に応えられるようなホットなレコードを作れるよう努めてるんだ。この曲は(スタジオで)座ってビートを作りだして、それからフックを歌ったりしてたらホットなトラックになってって、曲のタイトルは何にしようかって話になって、彼らはクルマから女の子たちに声を掛けてるみたいな感じのシチュエーションがいいって言い出して、女の子たちに声をかけてみてさぁどうする?レッツゴー(一緒に行こうぜ)みたいな感じのね。

Y: 彼らとはどんな風に知り合ったんですか?

F: The MajorsとはMy Spaceを介して知り合ったんだと思う。確か彼らがオレたちのMy Spaceにアクセスして声かけてきたんだったんじゃないかな。Flossyと彼らでまず話をして、で、彼らと一緒に会う機会を作ったんだ。はっきり覚えてないけど、確かMy Spaceがキッカケだったと思うよ。あぁ!!そうだ、Latin Rapだった。My Spaceでまずフックアップしてその後にLatin Rap Conventionで実際に彼らに会ったんだ。

Y: 彼らは近々『Where The Legends Are Made』というタイトルのデビューアルバムをドロップしますよね?

F: そう。

Y: 他にも(アルバム用に)彼らと一緒にやってるトラックはあるんでしょうか?

F: あるよ。“My Fitted”っていうフィッテドのベースボールキャップについてのレコードを一緒にやったんだ。それから“Work It Slow”って曲のフックを歌ってる。

Y: COOL!!

F: うん。彼らのアルバムはいい感じに仕上がると思うよ。

Y: 彼らはこの辺りでかなり注目されてますもんね?実は私もI.E.(インランド・エンパイアー地域)に住んでるんですけど・・・

F: ホントに?

Y: フォンタナっていうか、エティワンダっていうかその辺に・・・(笑)

F: マジ?!(笑)日本から電話してるんだと思ってたよ。

Y: 今はI.E.をレペゼンしちゃってるんです!(笑)

F: Yeah!! 

Y: ここまで話にでてきたRel、それからThe Majors、彼ら以外にも日本では馴染みの薄いアーティストの楽曲が収録されていますが、彼らのことも教えてもらえますか。例えば“So Fly”にフューチャーしているRush Oneとか・・・

F: Rush Oneは彼はあるグループのメンバーだったんだけど、えっと何てグループだったっけかな・・・

Y: 彼について調べようとしたんですけど、何も情報掴めなかったんで、、、彼はまだ新人って感じなんですか?

F: 彼はさっきも言ったけどあるグループのメンバーだったんだ。そのグループの名前を今思い出そうとしてるんだけど・・・グループは結構知られてると思うから。彼はポートランド市の出身で、ちょっと待って、((Flossyに向かって))「Floss、Rush Oneが所属してたグループの名前はなんだっけ?」((Flossyも思い出せず・・・))
あまり知られてなかったみたいだね。(笑)とにかく、彼はローライダーの周辺では結構知られてるグループのメンバーだったんだよ。だからRush Oneっていう名前はまだ認知されてないかもしれないね。Deuce Mobも同じようにこの業界で長くやってきてるけど・・・

Y: Deuce Mobについても後で伺おうと思ってたんですが、彼らは確か90年代から活動してるユニットのことですよね?

F: そうそう、彼らは結構この業界長いよ、Kid Frostらと一緒にやってた頃からだからね。彼らは業界ではよく知られてるし、まだ活動してるからね。あ、彼(Flossy)がグループの名前思い出した!Rush Oneは元々Rollers’ Eightっていうグループ出身で、彼らも何枚かアルバム出してて、ちょっと盛り上がったりしてたんだけどね。彼とやった“So Fly”もなかなかいいレコードなんだ。確かにまだみんなが馴染みの薄いアーティストたちもいるけど、“Back 2 You”にフューチャーしているVeze Skanteなんかは注目されはじめてるし、Treとかも、彼はデンバー出身ですごく才能のあるアーティストなんだけど、彼もラジオにシングル曲をプロモし始める予定なんだよ。新しいアーティストも沢山いるけど、さっきも言ったけどオレたちはそういう才能があってもまだ陽の目を浴びてないアーティストたちにもっと聴いてもらえるようなチャンスを作ってあげたいって思ってるんだ。良い音楽は純粋に良い音楽だからね。

Y: 仰るとおりですよね!才能のあるアーティストたちには機会を与えてあげるべきですよね、さもないとリスナーは彼らの存在すら気づかずに終わってしまいますから・・・

F: その通り。ヒットするまで楽曲を耳にすることがなかったりするからね、それに音楽業界の体制からして、(良い音楽でも)ヒットせずに終わってしまう事が多いから。

Y: その通りですね。

F: そこまで漕ぎ着けるにはそれなりのお金が必要だし、オレは自分が作ったレコードはどれも好きで、愛着があるからね、みんなに聴いて欲しいんだ。

Y: Treの“Cross The Line”にフュ−チャリングしているMelissa Lujanもここではかなり注目されてますが、まだ日本ではブレイクしていないアーティストの一人ですよね・・・

F: 彼女はStreetlight所属のアーティストで、間違いなく大ブレイクすると思ってみんなで頑張ってプッシュしてるんだ。物凄く才能あるし、来日の際にも彼女を連れて行こうと思ってる。彼女はポップ路線でブレイクすると思うし、みんなに気に入ってもらえると思うからね。ある意味マライア・キャリーみたいなアーティストになれると思うんだ。だから日本のオーディエンスにも彼女を是非紹介したいと思ってるんだよ。

Y: “I'm Sprung”は日本でも話題になっていますが、La Laについて教えていただけますか?

F: 彼女は女性シンガーヴァージョンのチカーノ・ラッパーなんだ。フッド出身の女の子で、でも彼女はラッパーじゃなくてシンガーなんだけど。彼女からコンタクトしてくれて、ずっとオレが手がけたチカーノラップの作品とかをよく聴いていてくれてファンだったみたいで、「私はシンガーなんだけど、アナタの音と私の歌をコンバインして何か出来ないかな?」って、で、「私が歌いたいのは、女の子の気持ちを代弁するような内容で、若いラティーノ・ガールズをレペゼンしたいの」って言ってきたんだ。彼女はサンフェルナンドバレーの出身だったと思うけど、だから彼女は等身大の(ラティーノガールズの)姿をレペゼンできるんだと思う。今までリリースされているチカーノ・ラップはLil’ Robとか殆どが男性ラッパーたちの作品だからね、今まで女の子たちの気持ちを代表してくれるような女性アーティストはいなかったんだ。だから彼女はその辺が大きな武器になると思うよ。他のアーティストとは違うからね。

Y: あまりビジネスのことばかり話すつもりはないんですが(笑)、その部分ってかなり大きなマーケットですよね?

F: そうそう。(笑) まさに彼女はその部分を純粋にレペゼンできるし、彼女は心からそうしたいって思ってるからね。オレたちが作る音楽との愛称も良いし、彼女とはすごく良いレコードを作れてるんだ。(今回のアルバムには)リミックスヴァージョンが収録されるんじゃなかったっけ?

Y: その辺りを次に訊こうと思ってたんですが、この曲のリミックスにはThe Gameが参加していますが・・・

F: そっちのヴァージョンが収録されるかどうかはチェックしてみないと分らないんだけど、、ちょっと待って、((Flossyに向かって))「このアルバムにはGameが参加してるヴァージョンの方を収録するんだっけ?それともLa Laだけのだったっけ?」 あ、やっぱりそうか、アルバムにはGame参加の方じゃないヴァージョンが収録されるんだって。

Y: オリジナルの方もいい曲ですからね!リミックスの方にThe Gameが参加するに至った経緯は?

F: La Laは彼と友達なんだと思う。一緒にハングアウトした際に彼に頼んだんだと思うよ。オレは全くノータッチなんだった。

Y: そうなんですか?

F: そうなんだ。ある日突然彼女が「Gameが参加してくれたの、聴いてみて!」って言ってきたから、「That’s Cool! グレート!!」って感じでね。(笑)

Y: じゃあ実際に(Gameとは)スタジオワークとかは一緒にされてないんですね?

F: そうなんだ、彼女が全て仕切ってくれちゃったんだよ。コソコソやったんだぜ!(笑)

Y: まぁ、彼女もやるべきことをやっちゃったって感じなんでしょうね!(笑)

F: よく分らないけど、秘密だって言ってたよ!(笑)

Y: (リミックスの)ジョイントは気に入ってるんですよね?

F: 最高に気に入ってるよ!当初彼らはSnoopに参加してもらおうと動いてたんだ、でもビジネス面でのつめが上手くいかなかったみたいでね・・・

Y: 実現したら最高のトラックでしたね、、、Gameとのリミックスも最高ですが

F: うん。Gameとのジョイントも最高だよね。ただLa Laは本当にSnoop Doggが大好きなんだ。だから彼女はSnoopの参加を祈ってたんだよ。

Y: アルバムがリリースされ、また再来日を望む声が出てくると思いますが、予定はあるのでしょうか?

F: 確か11月に来日する予定だよ。Low Rider Super Show、それからその近辺のショーに参加するんだったと思う。確か11月末じゃなかったかな。また秋頃に行く予定なんだ。

Y: 今回はどのアーティストを連れて行く予定なんでしょうか?

F: 多分、日本のファンがまだ知らないような新人を連れていきたいと思う。Don Wan辺りを連れていくかもしれない。最近オレたちが契約したラッパーで、すごく才能あって、グッド・パフォーマーなんだ。彼を日本のオーディエンスに紹介し始めようかと思ってる。Don Wanか、またDiamoniqueを連れてくかもしれないし、彼女は最高のパフォーマーだからね。

Y: 先ほどお話にあった、Melissa(Lujan)もですか?

F: 可能性はあるけど、もしかすると、(Low Rider系の)ショーに彼女がフィットしないかもしれないからね。日本で彼女は沢山のファンを作れると思うけど、Popよりだからね。彼女は典型的ウエストコーストサウンドっていうよりは、PopとかR&B系サウンドだから。Don Wanはその点いけると思うし、Diamoniqueと彼辺りと一緒に行くと思うよ。

Y: 今進めているプロジェクト、今後の活動予定を教えて下さい。

F: 今は別の部屋でLil’ Robが新しいアルバムの完成にはいってるんだ。『1218 Part II』は確か8月にリリースする予定だからそろそろ完成しないとまずいんだけどね。他には何があるかな、沢山ありすぎるからね。Kid Frostのニューアルバムに取り組んでて、リリース日程は知らないけど、良いレコードが沢山できてるよ。Epic Sonyと契約した16歳のラッパーMeech、すごく良いラッパーなんだけど、まだリリース日は決まってないけど、彼のシングル“Cameraphone”がこの夏ドロップされる予定だから、彼のアルバムも近々リリースされると思うよ。

Y: 彼はStreetlightのアーティストですよね?

F: そう、彼はStreetlightのアーティストなんだけど、Sonyと契約したからね。他にはMelissa Lujan、それからInterscope、じゃなくてAkonのレーベルと契約したFlip Sideっていうグループと“Spinnin”っていうレコードを一緒にやったから、ラジオでそろそろかかるかもしれないね。他には誰とやったっけ、、、沢山いすぎてわかんないや(笑)。“Lean Like A Cholo”のDownとSnoopをフィーチャーしたレコードをやったんだけど、かなりいい感じに仕上がったよ。この夏にラジオでスピンされるだろうね。他にも色々あるけどLa Laのアルバムももう直ぐリリースされることを願ってる、契約面でのつめを今彼らはやってるハズだから。

Y: ご自身のアルバムのリリースの予定は?

F: それも11月にリリースする予定だよ。『Classics for The OGs Volume 2』をね。11月にこっちよりも先に日本でリリースする予定なんだ。(Low Rider)Super Showで来日するタイミングにあわせてドロップする予定なんだよ。Super Showの後に何処よりも早くセールし始めるんだ。前作よりももっともっとビッグな作品にしようと思ってるんだ。今からエキサイトしてるよ。

Y: すでにプロダクションを始めてるんですか?

F: 2〜3曲候補の曲はあるんだけど、多分8月に本格的に制作作業をして、8月中に仕上げようと思ってるんだ。

Y: アナタはこの業界で長いこと活動してきて、ウエストコーストサウンド、特にDeath Rowの盛衰も見届けてきたわけですが、ウエストコーストのヒップホップ・ミュージックシーンが現在置かれてる状態についてアナタ自身はどんな風に捉えてるのでしょうか?

F: 自分がやってきた仕事の内容と矛盾してしまうかもしれないけど、1つ言えるのは、オレはウエストコースト・サウンドを本当に好きだからそれがベースになってこの仕事をするようになって、今キミが言っていたDeath Row全盛期なんかはウエストコーストにとってはエキサイティングな時代だったと思うし、SnoopやDre、Dogg PoundやPacの登場で世界的にも(ウエストコースト・サウンドが)ビッグになってったわけだけど、世界全体がウエストコーストはそういうサウンドでなきゃいけないんだっていう見方をするようになったんだと思う。そのせいで(ウエストコーストのミュージックシーンは)停滞状態が続いたんだと思う。オレは自分のサウンドをウエストコーストサウンドっていうのに固執しないで更なるレヴェルに持っていこうとしてきたし、もちろんビッグ・クラップスやファンクの影響とかベースラインとかあの手のサウンドは大好きなんだけどね。でも自分が作ろうとしてるレコードは進歩していかなきゃならない、新しいウエストコースト・サウンドじゃなきゃいけないって思うんだ。“Lean Like A Cholo”は最近ここウエストコーストのラジオで良く聴くようなダウンサウスミュージックのフレイヴァーを取り入れて、それを丁度良い位のウエストコーストサウンドとミックスさせてみたんだ、Dreっぽいストリングヒッツやビッグ・クラップをいれたりしてね。だからあの曲はオレのヴァージョンのニュー・ウエストコーストサウンドなんだ。現在レコード(CD)を買ってる子供たちはギャングスタラップやNWA、Death Rowサウンドを聴いて育ったわけじゃないし、彼らはきっとそんなサウンドの存在すら知らないだろうし、彼らにしてみたら、オールドファッションなものだって思うんじゃないかな。(笑)彼らはまだ生まれてない頃だからね。でもそういう彼らがラジオを聴き、アルバムを買ってるわけだから。だから、あの頃のサウンドを未だにやろうとしてる人たち、例えば、彼をディスする気は全くないんだけど、(The) Gameの場合、彼のマーケティングはNWAとかComptonっていうSuper Gangsta一色みたいな、今までにみんなが持っているウエストコーストに対する既成概念そのものだよね。今後他に一体何人のアーティストが同じようなアングルで売れるんだろうか?あまりいないと思う。既成概念に捉われたサウンドが再びウエストコーストを(音楽シーンの)第一線にもってくることは出来ないと思うんだ。でも才能あるアーティストが沢山いることも事実だよね、例えばGlasses Maloneとか。それから正直なところ、チカーノ・ラッパーたちも注目され始めてるよね、というのも彼らは既成概念から離れた独自のサウンドを作って、ハッスルしてるから。そういう彼らについてる熱狂的なファンたちが実際にラジオにリクエストの電話をかけてくれるし、ダウンロードせずにアルバムもきっちり買ってくれるからね。そうやって彼らはウエストコーストだけでなく他の地域にもその人気を拡大していってるんだ。でもウエストコーストがまた盛り上がってくるっていうヴァイヴは間違いなくオレも感じてるよ。停滞状態が続いてたけど、また盛り上がることになると思う。ここ数年みんなLil’ Jonのビートとかばっかり聴きまくってたからね、誰かが次のウエストコースト・サウンドを打ち出してくればまたこっちに注目が集まることになると思う。

Y: 最後の質問になりますが、日本のファンにメッセージをお願いします。

F: みんなのサポートに感謝してるってことと、みんなの前でまたパフォームする日を楽しみにしてるよ。オレたちの新しいミュージックに注目し続けて欲しいし、ウエストコーストを中心にアメリカからネクストジェネレーションの才能あるアーティストを紹介していきたいと思ってるからね。
だからいつもチェックアウトしてて欲しいんだ。彼らがビッグになる前に既に彼らのことを知ってもらえるからね。

Y: ではアナタたちのMy SpaceやHP等をみんなチェックアウトすべきですね。

F: そう、全部ね。オレたちの新しいウェブサイトについてちょっと紹介したいんだけど。www.streetlightmusic.net  っていう新しいウェブサイトで、元々同じアドレスのサイトがあったんだけど、リニューアルして、2週間後にはオープンする予定。今まで誰もやってないことなんだけど、オレのスタジオにカメラを設置して、オレが作るレコード全てのレコーディングの様子をライブではないけど、編集したものをみんなに見てもらえるようにしたんだ。オレがビートを作るところから、ラッパーたちとどんな会話をしてるかとか、そんな制作の状況を全て撮影して、エピソードごとに編集したものをウェブにアップする予定なんだ。オレのスタジオの1つをTVスタジオにして、そこでアーティストとインタビューをして、どんな音楽を作ってるのかとかそういった類の話をしたものをウェブサイトに載せるんだ。ファンのみんなはオレがトークボックスを演奏してる様子とか、ビートを作ってるとことかをチェックアウトできるようになるんだよ。ミュージックビデオとかもアップするし、TV番組を観てるようなサイトになると思う。Streetlight Spotlightっていうコーナーなんだ。これは全てファンのみんなのためにやることで、さっきキミが「どのレコーディングセッションが一番気に入ってる?」って質問したけど、どのセッションもオレは大好きだし、みんなにもその様子を見てもらえたらって思うからね。それについて語るだけじゃ本当のセッションの様子は伝わらないだろうし、だからみんなとシェアできたら最高だと思ったんだ。毎週違った映像をアップできたらって思ってる。それ以外にもメーリングリストに登録してくれたファンのみんなにはmp3ファイルを毎月送信するニュースレターと一緒に送ろうと思ってるんだ。みんなフリーでシングルが聴けるってことだよ。ファンのみんなに最新情報を知ってもらい、彼らにもオレたちの動向をチェックアウトしてくれてるお返し(リワード)をあげたいって思ってるからね。

Y: そういえば、すみません、先ほど訊き忘れてしまったんですが、Streetlight Music Japanの方の活動は如何なんでしょうか?Yalla (Family)の活動は知っていますが・・・

F: そう、Yallaと今一緒に制作に入ってて、彼ら(のアルバム)がリリースされたら、彼らがStreetlight Music Japanのアーティスト第一号になるんだ。Yallaにはオレと日本で一緒にショーもやってる50Cal(iber)がいるからね、彼は日本語と英語の両方を扱う最高のラッパーだよ。

Y: 彼はこっち(日本)育ちなんですか?

F: 彼は日本生まれで、まだアメリカに来て5年位じゃないかな。彼は最高のラッパーで、LAで知り合った2人の友達とDJと一緒にグループをやってて、それがYallaなんだ。彼らは間違いなくウエストコーストサウンドを持ってるし、最高だよ。3人それぞれの個性もしっかり出てるしね。それからStreetlight Music Japanでは他にももっとポップなアーティストを探すかもしれないし、日本のアーティストを育てるのを楽しみにしてるんだ。そのためにStreetlight Music Japanをスタートしたんだからね。

Y: 今日は本当に有難うございました。

F: ありがとう。

 

 


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